たまです。/たま
ない。私の感想も、詩人が小説を書けばこうなるだろうという程度だった。しかし、興味深い小説であることは間違いなかった。
場所がドイツとはいえ、前立腺癌の治療について事細かく書き綴ってある。それは日本であっても同じことだろう。
前立腺を失った詩人の姿は、私にとって他人事ではない。いつか私も失うかもしれないし、その確率はかなり高い。
私の場合、もう二十年ほど前から漢方薬を服用しているし、宮本先生に勧められて年に一度血液検査も受けている。前立腺癌は血液検査で簡単に見つけることができるらしい。つまり早期発見につながる。
そんなわけで、今日はもう五月四日。
嘘みたいな医療センターの先生と、親切な守衛さんに助けられて、薬を手に入れた私のたまは、少し回復したみたいだ。
令和元年の祝福の日に、私はたまの痛みをこらえて隣の町まで走った。
私にとっての、令和という時代が始まったのだという、ちょっぴり苦い想いが、切実に込み上げてくる令和の幕開けだった。
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