人の口を数えても/こたきひろし
 
上級詩人の奏でる言葉に
聞き惚れる

そんな時代もありました
昔は僕のこころも美しく澄んでいましたから

今はすっかり皺がはいり
皺のなかに埃が溜まって
上級詩人の奏でる言葉に
耳が反応しなくなってしまいました

それにしても
人の口の数に等しく嘘が吐かれて
歓楽街の電飾の看板にさえ飛び散っていますよ

そんな夜の街でお酒を飲んだら
際限なく酔ってしまいました

職場の同僚たちと懇親を深める為に飲んだ酒に
我を失ってしまいました

それから一人で場を抜け出し街中をさ迷い歩きました
歩き疲れた頃に足を止めて そして一軒の店の重たげな扉を軽く開けました

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