降り来る言葉 LXIX/木立 悟
夜の蒼のなか 点滅する灯
赤と白と 碧の建物
鉄のかたちが
径に横たわる
夜のなかの夜を見すぎて
暗い泡が浮かんでは消えない
目を閉じたまま何を視たのか
痛みの飛沫は去ってくれない
低い光を
音の曇がさえぎる
夜の門をひたす液体
無我と鉛の色の液体
空の子供が空を手わたし
桜の子供が桜を手わたす
雨の子供が碧に微笑み
金の子供と手をつなぐ
傘を忘れ
音の水を踏み
冷たい手足に
言葉は降る
雨の器 ひらいた口
横一線の 午後の筆
灰と虹の
夢の螺旋を見つめる
ひとつの樹に
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(2)