反抗期には/こたきひろし
 
反抗期にはどうしても素直になれない自分がいた
ある日
母親と些細な事で口喧嘩した

ひ弱な体型だった私は
さすがに暴力まではエスカレートできなかった

「煩いんだよババァ」罵ってしまった

すると母親は一瞬顔をひきつらせた
それから悲しそうな目をして黙ってしまった
それを見て私も何も言えなくなった

反抗期には何でもかんでも壊したくなった
反抗期には綺麗に咲いていた花を踏みにじった
反抗期には母親の財布から金を盗んだ
反抗期には教科書に卑猥な落書きをした
反抗期には世界中を敵に回してもかまわないと思った

反抗期には暴走した
反抗期には手首にカッターの刃を当てた

反抗期には
反抗期には
反抗期には

だったのに
今はすっかり年老いて

こころがやたらひねくれて
片方の足が捻れて
取れてしまいそうな
うす汚い老人
になっていくけど



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