ミイラ男は泳げない/帆場蔵人
たくちゃんやアーくんはとても
綺麗なフォームでクロールするんだ
彼らのように泳ぎたいわけじゃない
水と愛撫し合う幸せを知りたいだけ
包帯が水を吸って絡みつく
誰もお前は認めない、という声
ただ重く、体が沈んでいく
ねぇ、なぜぼくを
こんな風に産んだのですか?
泡にしかならない
人魚姫のような
言葉たちの悲鳴
たくちゃんやアーくんはとても
綺麗なフォームでクロールするんだ
みな底の水はぼくを認めてはくれない
絡みつく包帯は歪みきった愛情
海藻みたいにゆらめき、みな底に根を張り
光る水面を見上げる日々、泳ぎたい
包帯を解けば泡になって消え
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