真実はやさしさの欠片もなくて/こたきひろし
普段から優柔不断の私は一見優しく思われるかもしれない
だけど私と言う人間を支えているこころの仕組みは
いたって冷淡である
たとえ熱を加えられてもその構造は伝わりにくいので
温度が上がらないのだ
自分の内部から発熱する要素にも欠けているから尚更だ
しかしそれはある意味純粋なのかもしれない
純粋で無垢ないきものは裏を返せば環境に感化されず汚染されないと言うこと
かもしれない
そしてそれは物を書いて表現したいという欲求の強い自分にとって
かなり性能の高い武器になっていた
私は芥川のいちれんの作品を愛していて
特に「地獄変」にはいたく共感させられた
主人公の絵師は
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