再度の怪/阪井マチ
っていた。その風景の中には人の姿があった。カメラに顔を向けた男女がときには一人で、ときには複数で写り込んでいたが、その中に知っている顔は一つもなかった。これが何であるのか、私には何も分からなかった。
訳が分からないままリビングへ戻ると、娘が窓枠で首を吊っていて、引き攣った表情で事切れていた。
玄関の扉が開くとその向こうは外ではなく別の部屋に繋がっていて、そこではソファに座った男女が談笑していた。一方は妻で、もう一方はあの日姿を消した友人だった。二人が休日の予定を話し合っている部屋の脇には大きな仏壇があり、中には私の遺影が飾られていた。やがて娘がランドセルを背負って駆け込んでくると、私の妻と私の友人が私の娘をほほえんで迎え入れた。
もう一度玄関の扉を越えて娘が死んでいたリビングへ戻ると、そこには遺体があり、しかしその髪の毛は頭から剥がれ落ちていた。髪が外れて現れたのは私にとてもよく似た男性で、どんなに恐ろしいものを見て死ねばこんな顔になるのだろう、と思った。
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