まにまにダイアリー?サザーランド切手/そらの珊瑚
 
くだけのものにも時々お日様を当ててあげなきゃ。うっかりすると朽ちてしまうから」
桜は散って、ハナミズキが色づき始めていて、私は祖母と縁側で、過去のものたちと光を浴びている。
「そうだ、私が死んだらこれ、あげる。サザーランド切手が貼ってある手紙よ。結構いい値がつくはず。ホホバオイルのお礼」
「それ売ったらイギリスまでの飛行機代になるかな」
「往復切符くらい買えるわよ。もちろんファーストクラスのね」
今日のおばあちゃんはことさら白く、異国の血の証であるという青い瞳は、沼に浮かんだアンティークのビー玉みたい。

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