六十歳の定年に仕事はお払い箱にされた/こたきひろし
六十歳の定年に仕事はお払い箱にされた
定年延長再雇用は却下されて
容赦なく投げ出された訳さ
家の借金はあるし
嫁さんは体と心がどっちも弱くて
結婚当初から
俺にずっと養われてたから
今更仕事は無理だった
それでも彼女はそれなりに悩み苦しんで
仕事探しに奔走してくれた
でも世の中甘くないよ
俺と一緒にハローワークに通ったけれど
彼女の方はみんな断られた
俺は老人ホームの調理の仕事に採用されたが
四日と持たなかった
俺が持っていた料理の認識から大きくかけ離れていたから
それで近所に新設された物流センターの募集にハローワークから応募した
相談員の女性から
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)