屋根の上にはソーラパネルなんてなかった時代に/こたきひろし
 
いで駆け回り
夫婦して乾燥場に取り込むのさ

見た目に人間のやる仕事じゃないな

家は粗末な藁屋根の家だった
夫婦の子供はいつも腹を空かせていた
葉たばこの生産はたいした収入にはならなかったが
貴重な現金収入になった
もし
それがなくなったら
家族は多分生きていけなくなっていた
俺は多分この世からいなくなっていた

昭和の三十年代の頃の話さ

俺は昭和平成
そして令和だっけ
三代を生き延びていた

父親もお袋も
とっくにおっちんじまったけどな
戻る   Point(3)