狂犬/マサヒロK
俺が狂犬病になったのは
今を去る事10年前
酩酊した取引先営業マンO氏に
「テメーこの野郎」の決り文句と共に
骨に食らいつくブルドック
あるいは
犯人に噛み付く警察犬もかくやと思える勢いで
乱暴狼藉をされる身に覚えのないまま
肉がちぎれる寸前まで腕を噛まれ
引き離そうとする周りの努力にもかかわらず
永久に噛み続けるかのような様相を呈したものの
周りの人間にボコボコにされてようやく口を離し
帰り際「おらー」の声と共に店の玄関に立ち小便をして去り
その翌日さわやかな顔で
昨日の事はまったく覚えてない
今日もご注文ありがとうございますと言った
その後一週間消えなかった
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