螺旋階段を昇って/こたきひろし
「バカですね、男だったらそんな事されて悔しくないんですか。頭にきてあたしの頬っぺた殴って下さいよ」と言ってのけた。
私はただただ唖然とした。静子さんはいったい何者なんだろうと思い、まるで得たいのしれない宇宙人のように見えた。
「Kさんはたしかに良い人ですよ。優しいし思いやりもあるし。だけどそれだけなんです。女の目からみたらそんな男は良い人でも何でもなくてどうでもいい男なんですよ」
私は言われて何も言い返せなかった。
何も言い返せないまま
気がついたら四十年が過ぎてしまった。
のだ。
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