夕暮れまで/Lucy
雲に穿たれた節穴から
ちょうどこっちを覗いた太陽と目があった
日没まで15分
氷点下11度
重さのない雪の結晶を
ふわふわ被った針葉樹の列
灯油ストーブの炎を背に
揺り椅子に座り
編み針を動かしている
月日は有限
命は残り火
たどり着いた春の岸辺に
奇跡のように
球根が芽ぶく
冬の靴を片付けて
ブルーのシャツにアイロンをかけ
昨日を手放す
クリストファー・ロビンは大人になり
父親を憎んだ
プーは古びたぬいぐるみに戻り
年老いた母は
それを両腕で抱きしめる
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