火炎の花が空に/こたきひろし
ってしかたない。
昨夜遅くサイレンの音に目を覚まされた。何処かで火事か、この寒い時期にと思ったが、直ぐに眠ってしまった。
私たち夫婦は似た者夫婦で人付き合いが苦手だし嫌いだった。近所の付き合いも不器用で下手だったから自治会内で浮いた存在だった。
だから、私の定年をきっかけに失業を理由にして思いきって退会した。
それから回覧は回らなくなったし、市報も届かなくなった。
地域から断絶されたのだ。
それでも私の家族は何も変わりなくて和気あいあいとしていた。
生きていくのに活きていくのに何の不自由も感じていない。
過去の震災の時も、地域の助けあいなど何もなかったのだから。
他人は信ずるに値する存在ではないよ。私は私と家族以外信じていないし守れない。
守る気持ちもないよ。
火炎とその毒々しい煙りが知人夫婦から命を奪った。かもしれない。
と言うのは
それが私の冷徹な思考から発生した妄想かもしれないからだ。
私は時々そんな妄想して、ゲームのように楽しむ悪い癖が有るのだ。
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