Universal Boardwalk/カワグチタケシ
歩く 藍色に染められた
一匹の猫の尾を追いかけて
僕らは歩く、強い風に吹かれて
八月
墜落現場から四キロ離れた山小屋で
眠れぬ一夜を過ごした
膝に細く鋭い痛み 歩き過ぎたのか
ウッドデッキを覆う雨の被膜
海鳥が両足の指をまっすぐに揃え
頭上を過ぎる
弾力のあるその背中はまるで
僕らの未来のように痩せている
月齢に引き上げられた潮位
夥しい数のペンが波打ち際に
打ち上げられている
まだインクの残る一本をノックして
宇宙につづくボードウォークに書きとめよう
潮風が忘却を運んで来る前に
九月(reprise)
僕らは歩く ときには
手をつないで ときには
手をはなして 僕らは歩く
夜の道を 急ぎ足で
そして見たものを 見た
順番に書き記す
さほど多くはない
一般的な形容詞を用いて
Contains samples from H.Murakami, M.Jackson, K.Nashiki, Prince & C.Simic
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