Universal Boardwalk/カワグチタケシ
 
て運河をくぐり
明るい街に出かける

埃っぽい春の国道をバスに揺られ
かつて傷を負ったものたちの
声を聴きに出かける


四月

世界が愛と無関心で出来ているように
ときには四月に雪が降る
荷物をまとめ山荘を出て、都市に下る
雪はやがて冷たい雨に変わる

街路、雨の夜の街灯の下を
通過するとき傘の影が頭上を覆い
そして前方へと傘の影が
足音を追い越し伸びる

雨は明け方また雪に変わり
昼過ぎには晴れる
映画館に出かけ、人の声を聴く

なみなみとした時間が過ぎていく
朝日が東雲を染めるとき
何をすべきかはっきりとわかる


五月

歩き
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