ウタウ/シギ
 
此の世には必ず、正と負が生まれる。

善と悪が、天と地が、喜びと悲しみがあるように、対なるものが生まれる。

そして、それを産み落とす神が居る。


吟遊詩人は歌う。此の世の嘆きを。何が善で、何が悪なのだと問う。

例えば白の道を選び、正義を振りかざすのが善だというのか。

例えば黒の道を選び、人を殺めることが悪だというのか。

それは本当に……正しいのかと。そして、此の世の運命に善と悪はあるのかと。

運命がすべてであり、運命という言葉ですべてが終わらすことが出来るのならば、運命と対を成す言葉は何なのだろうか?

生まれ持った運命に、大切なものを守るために握った刃たちに、善も悪もあっただろうか、と。

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