家族は唐揚げ/石村
く
思想は低く 着想乏しく
想像力に欠け
技量はあはれなまでに拙い
無念なるかな
遺憾なるかな
痛憤痛惜の念に堪へずして
俺は唇を噛み 歯をきしらせ
血涙を呑んだ
ああ
天にまします神なる御方は
何ゆえに この妙なる一句を
わたしなぞに授け給ふたのか!
それでもやはり
家族は唐揚げ
かぞくはからあげ
カゾクハカラアゲ
kazokuwakaraage
いい
じつにいい
なんど反芻しても
いいものはいい
家族は唐揚げ
ああ なにゆえに
かくはわが心を悩ませる
この一句
家族は唐揚げ
家族は唐揚げ
家族は唐揚げ
もひとつ行かうか
家族は唐揚げ
さあ
皆さんも
どうぞ
ご一緒に
家族は唐揚げ
(二〇一八年四月八日)
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