家族は唐揚げ/石村
 

「家族は唐揚げ」
どこからともなく
湧いて出た
その一句
そのしゆんかんから
なにゆえか
俺の心を とらへて離さぬ

幾百万もの言葉があり
百の何乗だかの組合せがある中で
天使か悪魔のはからひか
かくも見事に生じたる
一期一会の この機縁 この一句
「家族は唐揚げ」

いい
じつにいい
なんともいへずいい
ふるひつきたくなるほど
いい一句ぢやないか

風韻がある
滋味妙味がある
俳味もある
豊かな陰影を宿しつつ
簡潔にして明快
かういふのをポエジイといふのだ
さうはおもはないか

いやしくも詩人たるもの
これを一篇の詩に物せずして

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