アパートメント/shell-lamb
 
鉛筆をカッターナイフでうまく削る練習をしています
すこし肥大していた右足の親指がつっぱったようになる夜です

叔父さんはわたしの動物や建物のスケッチをよくほめてくれました
重なり合った線を指のはらで押すと光る灰色に汚れます
それはうつくしいのでした
叔父さんはうつくしいとほめてくれました
アルマジロと坂の上にある教会をかいたものについては
とてもキレイだねといってくれました
今考えるとキレイなのもうつくしいのも
スケッチブックの線の重なりの色や
アルマジロの節や十字架なんかなのだとわかります

叔父さんはわたしのもつ鉛筆にはいつも顔をしかめました
粉をはらったあとのなめ
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