ひとりごと/梓ゆい
 
父の魂は
今に置かれた座椅子の上で
孫が遊びに来るのを待っている。

ぷにっ。ぷにっ。と
柔らかいほっぺたの感触と
宙を見つめる大きな瞳を思い浮かべつつ
かわいい孫を
自分の手で抱き上げることが出来ない寂しさを
誰にも気づかれることなく抱えて。

もう一度生まれ変わってくれば良いのだ。
小さな赤子となり
次の人生を歩む中で再び巡り合う日が来るように。

いつかきっと
眺めた景色と出来事に
自覚の無い懐かしさを覚えるのだろう。
今はまだ出会えていない
新たな家族の中で。

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