約束/高林 光
 
不意にあなたが
私の前にいたのです
たぶん、あなたにとっても
私が突然現れたように
感じたのでしょう

何もないところに
ふたりで立っていました
この先なんて見えませんでした
ただ、いまがあるだけで
次が何かも分からない
そんな、不安定な希望が
細い糸のようにただ
あなたに繋がって

慎重に手繰るようにして
私があなたの名前を呼んだ夜
あなたは
階段を駆けあがりました
あなたと私の
はじめての約束のために

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