約束/
高林 光
不意にあなたが
私の前にいたのです
たぶん、あなたにとっても
私が突然現れたように
感じたのでしょう
何もないところに
ふたりで立っていました
この先なんて見えませんでした
ただ、いまがあるだけで
次が何かも分からない
そんな、不安定な希望が
細い糸のようにただ
あなたに繋がって
慎重に手繰るようにして
私があなたの名前を呼んだ夜
あなたは
階段を駆けあがりました
あなたと私の
はじめての約束のために
戻る
編
削
Point
(1)