彼岸の、さくら/玉響
 
少しばかり変わったと思う
いつも 生の側から死を見ていたのに
つまりはこの世からあの世を見ていたのに
初めてあの世からこの世を視れたような…
そして それは既視感を伴っていた

アッ、シッテル、ワタシ…

なのに
何かが矛盾するかもしれないけれど
肉体を持って堪能する美しい世界と
肉体を持たずに堪能できる美しい世界とは
合わせ鏡のように相似形なのかも知れない、などと
あれから 確信めいたものを感じてしまう

ワタシハ、
ワタシタチハ、シッテイル
ホントウハ、シゴノセカイヲ、シッテイル

桜など咲けば
その感覚がリアルに蘇る
あの夢の岸辺で見た
見渡す限りの
さくら
サクラ


時空を超えて
この花は
きっと彼岸でも咲き乱れている

いずれ 誰もが還る その世界
なつかしいあの場所でも
きっと

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