【 プラネタリウムの夏の空 】/豊嶋祐匠
 
  
  
  
  君と僕が出会った時は
  
  深い冬の中だった。
  
  そしてそれは、若き君の晩年。
  
  
  「 あの子を、最後までお願いします 」
  
  
  僕に向けられた言葉は
  
  君の母さんの、祈りだったに違いない。
  
  
  僕はその時、決めたんだ。
  
  君と共に最後まで生きると。
  
  
  
  君が買ってくれた、小さなプラネタリウム。
  
  
  
  寂しかった僕の部屋は
  
  季節はずれの、夏の夜空に変わった。
  
  
  
  「 私の星座が無いよ 」
[次のページ]
戻る   Point(3)