こわれもの/高林 光
 
どね

 いつだったかな
 あたしの胸に顔をうずめて
 あなた、ずっと黙ったままでさ
 どうしたのって聞いても
 なんにも答えてくれないし
 しょうがないからあたしも黙って頭をなでてた
 なんだか、あなたのさみしさが
 あたしの胸に伝わってきて
 泣いてもいいんだよって言いたかったのに
 どうしてもその言葉が喉を通らなかったの
 あたしのほうが泣いちゃいそうで
 かわりにあたしが
 うずめるほどの胸はないよって言ったら
 小さいくらいがちょうどいいんだって、あなた
 失礼しちゃう

 いつだったかな
 ベッドの中で
 わけもなく急に不安になってさ
 しあわ
[次のページ]
戻る   Point(2)