お化け屋敷にて/佐白光
 

 初めて手をつないだあの日

 怖がる仕草が可愛くて

 ぎゅっと握ってしまう

 応えるように握り返してくる

 君の顔が微笑む

 暗闇のなかでもそれがわかる

 出口の明かりが見えた時

 握っていた手を離してしまった

 その先の映像が頭の中に映らない

 何度巻き戻しても

 戻らない記憶

 悲しくて淋しすぎて

 自己防衛により封印された

 天国の君へ

 あの日の手の温もり

 忘れない

 
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