緑の地獄/中原 那由多
右手で毒を掬い上げ
左手、熱を掬い上げ
両手で愛を掬い上げ
零れる詭弁
滴る幻
葉緑体がひしめき合いその隙間から染み出すモザイクは朝の訪れであるかのようにゆっくりと
髑髏を
浮上させる
あれが
こっちを
覗き込んでいる
覗く髑髏に覗かれながら
髑髏に構えた指鉄砲
(発砲音)
みどりがまいちる
瞼の
上の
ニキビ
が
潰れた
ような
肌触りが心地よい
枝分かれしたシナプスの
一本一本に巻き付いた
蛇のような違和感を
捻り切ってみれば
板チョコを割ったかのような
軽率な喘ぎ声がする
痒い
と
右手は首を掻き
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