おれの(おれたちのではない)イチローだった/はだいろ
玉置宏の笑顔でこんにちはから、文夫と明子のラジオビバリーヒルズに行って、
吉田照美から、文化放送ライオンズナイターを聴くのである。
なぜ、ライオンズナイターかというと、
当時、ラジオもテレビも、ナイター中継は全て、巨人戦のみだった。
優勝の決まった後の消化試合でさえ、そうなのである。
ブレーブスファンのおれが、
西武と近鉄と三つ巴の苛烈なデッドヒートが展開されていたシーズンの試合経過を、
リアルに聴こうと思ったら、
「はっきり言ってライオンズびいきです」の、文化放送に波数を合わせるしかなかったのである。
全ての国民が、
プロ野球とは、巨人が主役の伝統芸能であり、
巨
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