春乱漫/長崎螢太
 
弛緩する、心臓
春の
そよ風に身を任せ 、立ち泳ぐ
辺りには、蠢動が満ちていて
指先から
徐々に、芽吹いていく

あらゆる感情を司る
脳内シナプスが
緩やかに伸び、繋がり
未来を
思い描いては、また、消して
再構築を繰り返している

それが、いいことなのか
悪いことなのか
判断することさえおぼつかないまま
いっそ、
この穏やかな倦怠に
すっ、と身を任せて
永遠の眠りにつきたい、と思うのです

覚醒を得ろうとし、光に向けた眼球が
胞子で
緑色に侵されていく
弛緩した身体が見つけられる頃には
きっともう
全身が芽吹いている、ことでしょう

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