女の名前は恵美と言った/こたきひろし
女の体に遺す事に何の躊躇いもなかったのだ。
食料不足と貧困の中でその性欲は衰える事はなかったのだ。
その年にKは三十代なかばになっていた。
三十代なかばながら童貞だった。恥ずかしながら女を知らなかった。
笑わないで欲しい。
Kは醜男の類い。加えて女々しい男。
女は皆、避けていった。
奇跡的に近づいてきた女がいて恵美と言った。小柄で可愛い顔をしていた。
十歳年下でいつも短いスカート穿いていた。
その時Kは恵美の胯間の奥を偶然見てしまった。
何事もなく装ったら、すかさず恵美に言われた。
「kさんあたしのパンツ見たでしょ?」
「いや見てないけど」
kは答えた。
「誤魔化さなくてもいいわよ。怒ってないから安心して」恵美が言った。「ちゃんと見ていいよ。見るだけなら減るもんでもないから」
悪戯っぽい眼で小悪魔のように。
言った。
まるでそれを楽しむように。
両の脚を開いて見せた。
戻る 編 削 Point(4)