骨を写すカメラ/ああああ
自称メディアアーティストの水谷毅は、観客の骨をリアルタイムで映写する作品を発表した。レントゲンを使っているわけではない。骨の像はカメラの入力を基に合成される。観客の動きと骨の動きにタイムラグはほとんどない。彼の作品ははじめ公民館で公開されたが、今ではスマホのアプリとして無料で提供されている。
骨にはユーザーレビューがつけられる。人気があるのは妊婦と胎児で、昼食にサンマを食べるサラリーマンはその次くらいに良い。
深夜に開けた冷蔵庫の光に照らされたときの気分こそが現代のアートだと水谷は言った。また、そう遠くない未来で、若者たちは換気扇の羽音でガン踊りしているだろうと水谷は言った。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)