旧作アーカイブ2(二〇一六年一月)/石村
 
午後に
僕はなつかしく見てゐよう 波が消さない
砂の上のお前の名を

また新しい命が ここに来る前に


(二〇一六年一月二十四日)




  夕映え


何もない空に 私は描く
古い絵のやうな あの日の夕映えを

―― 心は破れ
すべての嘘は砕け
海は割れ
地は崩れ
堕ち行く場所さへ失つた 私とお前の目に
その夕映えの 何と鮮やかだつたことだらう!

千の天使がラツパを高く吹き連ね
消えてゐた神々が現れ
復活の日を喜び合つた ――

それが 星の終はりだつた
それきり私は お前を見うしなつた!

幾百万の生を経て
幾百万の
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