忙殺/
北村 守通
必然を失っていた
逃げ水を
振り返ることも
なくなっていた
明日やってくる
昨日に
なにがあったのかも
思い出せないようになっていた
なにがあったのかも
気にならないようになっていた
明日
しあげなければいけない
書類の
変更内容だけは
家に帰りついても
いつまでたっても
頭の中にまとわりついている
家で
済ませてしまえば
いくらかは楽になるような気もしているが
重い体は
動かない
それでも
布団に入るでもなく
机の中に
くるまっている
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