夜を飛ぶ鳥/帆場蔵人
 
磨り硝子の向こうをよぎったのは
夜を飛ぶ鳥なのだろうか

それとも

地に落ちていく誰かの魂だろうか
生れ落ちていく無垢な魂だろうか

ぼくの見えぬところで
はじけたり、とんだり、はねたり

午前零時は
珈琲ポットをカタカタ鳴らす
蒸気に曇り、今日なのか明日なのか
引かれた線を曖昧にとかして

磨り硝子 いちまい隔てた夜を
鳥たちがあらゆる方角に落下していく
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