Sestina2/ふるる
 
催眠術にかかっている間に
彼らが買おうと思っていた家は燃えた
右も左も分からない子供のような街
サイダー売りの声はとてもよく響く
私の住所は内緒にしておかないと怖い
何が起こるかわかったものじゃない

そんなに心配することでもない
犬が吠えまくって飼い主に蹴られている間に
コインランドリーの裏は暗くなっていく怖い
まっすぐな恋の瞳が日ごと静かに燃えた
駅前の時計塔の鐘がそしらぬ顔で響く
新品の破れ靴を売る店が現れては消えていく街

君がふわふわコロッケに憧れる商店街
どこかと聞かれても答える術がない
工事の振動がこの土地全体に響く
告白の尻尾をつかめそうと迷ってい
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