箱のこと/はるな
 
にきちんと傷つかないと、ぼんやりとした自我になってしまう。そしてそれはほんとうに格好悪いのだ。
そういうわたしが、いま母親になって、むすめに甘えながらワアワア泣いている、むすめにはわたしにならないで欲しいと強く望むのは、そんなことありえないっていう簡単なことを理解していないからだ。
なんかいも同じところからはじまる。灰色の部屋、夢のなかの保健室、箱だらけの中身、こんどは転んだぶんだけちゃんと傷ついていく。


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