レクイエム/美空
掌から零れ落ちた幸せを
慌てて拾い集めようとするけれど
砂上の楼閣の如く
脆くも崩れ去り
風に浚われ跡形もない
立ち竦む 過去と未来の狭間
砕け散った心だけがその場に囚われ
視界を阻む濃い霧が周囲に立ち込める
永遠とも思える時間の感覚は螺旋に流れ
白昼夢にも似て現実を麻痺させてゆく
現実と幻の境界線で惰眠を貪り、夢を見た
体内の至るところに刻まれた螺旋の記憶は
太陽を中心に螺旋を描いて回る、星々そのもの
螺旋は永遠に旅をする
そんな夢だった
美しい軌道を描くこの旅が
未来永劫続くとしたら
再び幸せを取り戻すことも可能で
今生 二度と帰らぬ人たちも
またいつか 生まれ変わるだろう
哀しい哉 人は生まれ変わる度
忘却の門をくぐり振り出しに戻るけれど
繰り返す旅の何処かで
縁、という不思議な糸に手繰り寄せられ
私たちは何度でも、巡り逢うのだ
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