クレアおばさんゆさゆさ/ふじりゅう
 
ここは寒すぎて
コトコト煮込んだシチュー恋しく
焦りながらの帰宅道は
普通の少年のようだった

たった2℃熱いコーヒーも欲しがり
サンタクロースのような
土っぽい自販機は ガシャ と
無神経に商品を 投げ落とすだけだった

ドクロの模様に近い交差点の
日の差さぬ電線の真下に
ホントに意味がなくても
花束を括りつけた

オドロロ オドロロ
たまに来る自動車が離れては消え
離れては消え また近づいては
下道を彩っている

ここは寒すぎて
ブーとメールが来て
それで、クレアおばさんの笑顔と
諸々を揺らしながら
空き缶を捨ててあくせく帰宅する僕は
まるで普通の少年の様だったのかもしれない。
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