卒業/R
おすまししたミシンさんの濁った油には、
シルクピンと埃と三月の寂しさを愛しくさせる成分、
例えば、先輩の輝かしい功績やひたむきな放課後、
後輩のまっすぐな憧れや貪欲な昼休み、
その間に挟まれた午後の座学のような私たち、
つまり、この教室で縫い合わされた子供と大人の日々、
を構成する、
純心と不満と鼻歌と反抗と笑いと溜め息と、
小さな責任感と、
こまごました夢と、
それから、
流されなかった涙、
も、混ざっているかもしれない、
それが、
小さな穴から、
ツーーー
、と
垂れ流される様に、
私はいつか見た豚の放血を思い出す。
スタンニングが甘くて哭き
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