人でなし/
田中修子
をノックするように胸をドンドン叩いても
居心地よさそうに 猫みたいに
穏やかに目を細めて笑っている
きみ、よかったよ、ここを知らずに死んで
こんな地の果てのような場所でも
あの家の中のことと さして かわらないのだよ
すばらしい想い出だけ 灼けついた真実であれさえすればいい そうだね?
春
この爛漫の花咲く季節さえ みどり芽吹くこの日日でさえ
霞んで見えるほどの想い出であることを
きみ、よかったよ、死んでくれて
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