新宿駅・午前〇時/服部 剛
鼠が地面に落ちた
餌を食べる 午前〇時の新宿
家の無いおじさんは
幸せそうな笑みを浮かべ
北風に凍える僕の傍らを通り過ぎ
バケツの残飯を探す臭覚のままに
繁華街の路地へと
消えていった
終電の時刻も近い
駅前を行き交う人々の間に
突っ立っているサラリーマンが
踵で煙草の火を潰してる
僕がこの街で
ずっと探しているものは
一体、何だろう
* * *
日付の変わる前、僕は
「無人島で無尽蔵」という
新たなライブの司会をしていた
先陣を切った阿部ちゃんは
軽快なタップを打ち鳴らし
目には見えないメッセージを語り
茨城から
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