春へ跳べ/帆場蔵人
 
そのトラックの荷台の隅に乗せてくれないか
行けるところまで風を感じて町を出たいのだ

彼方の空は晴れているのにこの町は陰鬱に曇っている
陽気に歌って曇天をたたこうか、どんどん、どんどん
町は遠ざかり晴天がやってくるじゃないか

どんどん、どんどん、冬の纏いを脱ぎ捨てて
心よ羽化するように春へ跳べ

行けるところまで載せてくれ
今だけは載せてくれ

僕というお荷物が町を離れていく
あの坂を越え、この坂を越えて
ゆく先は晴れたり曇ったり

どこだって空の下だ
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