崩落の朝、公園で。/ホロウ・シカエルボク
ていて、小便で洗い落とすことは出来なかった、もう少しすれば近くの住人か何かが清掃に訪れるだろう、俺はそれを見なかったことにした、念のために個室部分も覗いてみたが、誰も入ってはいなかったし汚れてもいなかった、それならば少なくともここでは誰も死んでいないということだ…手を洗って公衆便所を出た、そんな少しの間に、世界はすっかり目覚めていた、太陽の光はまだ弱かったが、方々で移動しながら話している連中の声やホーンの音が聞こえた、それはなにかひどく現実感を欠いた映画のように俺には思えた、もう少ししたら太陽がすっかり上るだろう、この分なら今日も気持ちよく晴れるだろう、そうして俺はふらふらと立ち上がって、どこかへ向けて歩いて行くことだろう。
戻る 編 削 Point(0)