光のひと/立見春香
私の光だった
あなたは空をみつめて泣いていた
世界はひとつだけ私に意地悪をして
彼女の記憶のいくつかを
ブラックジーンズのシミといっしょに
手洗いで消し去ってしまった
私は痛い寒さを堪えて
ただ微笑みを
あなたき向けることしかできなかった
嘘をつきたいわけではない
真実を暴きたいわけでもない
私の光だった
空をみつめて泣いているあなたがいて
私はそれを微笑んでみつめていた
ただ微笑みだけが残っていて
その微笑みが凍りつくのを
遠い空から見下ろしているのも私
私はいつまでも漂っているしかなかった
光のひとのあたまの上を
ひらひらと
あいをこめて
ひらひらと
いつまでも
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