エナガのうた/Wasabi
「幸せなら幸せなうたを唄いなさい。幸せ者が悲しむ唄なんて誰も聞きたくないんだからね」
ルリビタキさんは、そう教えたかったのかも。馬鹿だ、わたし。どうして今まで気がつかなかったんだろう。毎日まいにちグチや不平不満ばかりつぶやいて。幸せなのに、それを感謝したり、うたにもせず。
明日、ルリビタキさんを探しに雑木林へ行ってみよう。会えたら必ずおわびとお礼を伝えるんだ!
翌朝は細雪だった。達ちゃんの登校する姿を見届けると、わたしはリンゴを手土産に雑木林へ向かった。そこは普段、さまざまな鳥や生き物が思い思いに巣をつくり、おしゃべりしたり、うたを唄ったりしている場所だった。
ルリビタ
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