さみだれの祈り/立見春香
 
私が歩くとできた道を
君があとからついて来る

しばらく歩くと私は振り返り
大正デモクラシーみたいな
ロマンチックな夢を
ふたりのあいだになら
見ることもできるみたい

そっとやさしい微笑みで
見てくれている潤んだ瞳
思わずサッとキスをして
ごめんと謝り怒らせた

『抱きしめてくれたら嬉しいです』

空が祝福している青さで
聞こえもしない心の声を聞かせてくれる
それって妄想?
わからないからじっと目を見て迷うんだ
私だけ好きすぎて
いつかすごく囚われた
罪びとになったみたい

そして手を取り合って歩きはじめた
君のささやき声
服の触れ合う音

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