ドレリア/la_feminite_nue(死に巫女)
風の種を、冬に播き、夏、嵐を刈り入れる。この平原(ひらはら)はまるで、ユトランドの牧景の様に、野を、素朴の音が渡り、農人達が、獲入(とりいれ)の厳かな儀式を行う。晩鐘色に田の覆われる秋、彼らの仕事は謡いである。虫の声(ね)が、すだき、砕ける。小道は、目を過(よぎ)る彼方の樹林を抜けて、遠く、地平の丘へと続く。黒雲(くろくも)が往く。月は上前に浮かんでいる。唱和(とな)えつつ、風にゆられる稲穂からのように、捧げは尊く、音楽はかすかに鳴っている。……夜着を纏い。外洋へと突き出した、当地(ち)の断崖からは、遐く沖をゆく外国の帆舟へのように、遥か恋人達の心根のよ
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