音に溺れる/
三月雨
ヘッドホンで蓋をして
全世界にお別れをする
頭の中で騒ぐ感情を
小さな機械から溢れる盛大な音に浸して
終わりのない映像が生まれる
目を閉じるほど音が、風が、匂いが
まず頭を包み込んで、喉を下り心臓へ至ると
瞬きの速度で全身に伝播していく
この上ない快感
僕の身体は今どこにある?
知覚することなど無意味で
僕は過ぎた一秒にさよならをして
今、今、
音に溺れる。
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