別離さん/後期
愛欲は
どろどろした
愛と欲を語ることもなく
悲しみと不安と諦めも
べつだん愚痴をこぼすこともなく
別離であるぼくのために
滑稽な踊りを、えんえんと
見せてくれた
踊り疲れると
ぼくの拍手を制して
そんなんじゃないから
そんなんじゃないから
と、また車座になって
チーズをくわえた
私は、男に見えるだろう?
でも、性別は、女性なんだ
諦めが、長い髪をかきあげて
わらった
いろいろあったとおもうけれど
悪く思わないでやってくれよ
いろいろあったとおもうけれどね
さぁ、そろそろ地球が、動き出すぞ
別離さん、縄を上る時間だよ!
ぼくは、別離らしく
「さようなら」を四つ言い
底をあとにした
おーい!
と、底に向けて
叫ぶと、おーい!
というぼくの
おーい!が、木霊して
消えた
ぼくの底も丸見えだったのだろう
縄に滑って、怪我していないだろうか
しっかり、もてなしを
してもらえたのだろうか
彼女は、
「さようなら」をいくつ
言って、ぼくの底を
あとにしたのだろう
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