街/
たもつ
眼、鼻、耳、口、毛穴
すべての穴に私たちは窓を取り付け続けた
窓に明りが灯ると私たちはそれを街と呼んだ
街が体中に繁茂していく傍ら
明りの消えていく窓がある
その浮力により
私たちは悲しみを持つ
いつまでも人
とある時代、橋上から
私たちは川を覗き込んだ
かつてその川にいくつもの街が水没した、と
人々はまことしやかに噂し合った
覗き込んではいけない窓がある
私たちはそのことを知っていたが
決して言葉にすることはなかった
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